尋常乾癬「オテズラ錠」について/にしやま由美東京銀座クリニック(東京銀座2丁目)
2017-08-04 [記事URL]
尋常乾癬の新薬「オテズラ錠」について
尋常性乾癬は慢性的な皮膚の病気であり、その主な症状は、皮膚が赤くなって盛り上がる「紅斑(こうはん)」、次第にその表面が銀白色の細かいかさぶた「鱗屑(りんせつ)」で覆われ、やがてそれがフケのようにボロボロとはがれ落ちる「落屑(らくせつ)」です。
以前は「治らない病気」といわれていましたが、治療の進歩により、乾癬の症状を抑えることができるようになってきました。日本には約40万~50万人の患者さんがいますが、約2:1の割合で男性に多くみられます。
乾癬の原因は
乾癬の原因としては、免疫の異常(自己免疫反応)が起きやすい体質の人に、気候、ケガや感染症、薬剤、ストレス、不規則な生活などからの刺激(外的な要因)と、糖尿病や高脂血症、肥満など体内の変化(内的な要因)が加わって、発症するのではないかと考えられています。
これまで、なぜ乾癬を発症するのか、原因は明らかにされていませんでした。しかし、最近の研究では表皮細胞の異常な増殖と、これに免疫の異常が加わることで炎症が起こり、乾癬を発症することがわかってきました。
最近、特に注目されているのが、免疫の異常です。免疫は、細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入するのを防ぐ大切な防御システムですが、何らかの原因でこのシステムが異常をきたすと、異物ではなく自分自身に対して攻撃し、炎症を引き起こしてしまいます(自己免疫反応)。
乾癬の治療について
乾癬治療の中心は外用療法(ビタミンD3+ステロイド剤)であり、多くの方は塗り薬から治療を開始します。症状の進行にともない、光線療法、内服療法を用い、それでも十分な効果が得られない場合は、生物学的製剤による治療を行います。
また、かゆみがひどいときには、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などのかゆみ止めが用いられます。関節炎で痛みがひどいときには、痛み止めの塗り薬や湿布、飲み薬が使われることもあります。
乾癬の新薬「オテズラ錠」について
最近では、福井県出身のモデル道端アンジェリカさんがブログで乾癬であったと告白したことで話題になり認知度が高まったという経緯もあります。自分の症状も乾癬ではないかと心配されてご相談に見える方も増えてきています。
乾癬の治療法は、近年格段に進歩し生物製剤と呼ばれる注射薬もどんどん開発されてきています。ただし、生物製剤は効果抜群ですが治療を受けられる病院が限られていることと高額な治療費や副作用のフォローアップなども必要になります。
そこで最近開発されたのが「オテズラ錠」です。飲み薬なのでクリニックで普通に処方することができることと効果がかなり高く、重大な副作用がないことが最大のメリットです。
飲み始めの2週間はスターターパックと呼ばれるパッケージがあり、ここ指示に従って服用するだけなので簡単ですね。その後は、朝夕の食後に維持量を続けることで症状が改善していきます。作用機序は下記に示す通りです。
オテズラの薬のしおりです。乾癬でお悩みの方は是非当クリニックにご相談ください。
※この治療は公的保険の適応となります。