顔や身体にできた瘢痕(キズアト)の形成外科手術治療についての詳しい説明をします。
これまで当院にご相談に来られたキズアトの原因には
A:外傷・手術による線状のもの
B:交通事故によるもの
C:タバコ跡によるもの
D:イニシャルなどが彫られたもの
E:非吸収性注入異物によるもの
F:ヤケドによる面状のものなどが挙げられます。
キズアトに残る異物(ゴミ)についての処理方法について
A:異物を含めて手術で取り除く
B:皮膚レーザー治療でゴミだけ取り除く
患者様の状態や希望をお聞きして方針を決定します。
形成外科の瘢痕(キズアト)形成手術について
基本的には、手術のデザインを慎重に行い、それに沿って瘢痕(キズアト)の部分を局所麻酔にて取り除き、その後に、表情筋の断裂などを修復や、皮膚と皮下を2層に丁寧に縫合を行います。キズアト方向、突っ張り具合によっては、Z形成術やW形成術など形成外科独特の方法を取り入れ縫合後のキズアトにかかる力を分散したりする処理も検討していきます。また、複数回に分けて手術を行うケースや、平行したキズアトは同時に行うとキズを引っ張り合うために、手術時期をずらしたりすることもあります。
顔面の傷跡は、人も目に一番触れる部分なので、「そのキズどうしたの?」とか指摘されやすく多くの患者様が気にされている症状です。瘢痕拘縮形成術(スカーリヴィジョン)は、キズアトをゼロにすることはできませんが、ある程度までは目立たなくすることができる点や表情筋断裂などの修復をすることができる点がレーザー治療と違う最大の相違点です。
Z形成術の効果について
Z形成術は、形成外科的手術において陥凹した瘢痕や皮膚のシワに沿わない線状瘢痕の修正などに用いられます。皮膚切開のデザインがZの文字に似ていることからZ形成術と呼ばれています。2つの三角形の皮弁を入れ替える事によって、いろいろな効果が得られます。
○切開線の走行をを90度変更する。
○2点間の距離を延長する。
○線状瘢痕の拘縮を予防する。
○組織の位置を山から谷に変える。
形成外科の最も基本的な手技。
1.皮切のデザイン
皮膚の切開線は、必ず皮膚のシワのラインと一致するように考えることです。手術を行うときには、時間をかけて慎重にデザインを行います。形成外科医のデザインセンスも問われるところです。
2.真皮縫合と皮膚縫合
皮膚の中縫いは細い糸で縫合し、この糸は基本的に抜糸をしません。糸の緊張がきつすぎないように注意して、皮膚の表面がぴったりと合せます。皮膚表面の黒糸は、5日目には抜糸を行います。
3.ドッグイヤーの修正
創縁の両端には、大なり小なりドッグイヤーという皮膚の隆起が生じます。ドッグイヤーは、できる限り修正を行った方が良い仕上がりになります。
4.ハイドロコロイドゲルの貼付
私どものクリニックでは、この創面にハイドロコロイドゲルを貼付して、浸出液を逃がさないようにしています。
5.手術後のキズアトフォローアップ
スキントーンテープによる創の固定と内服(リザベン・柴苓湯)の処方6か月間を基本として、体質等によって赤みや盛り上がりが気になる場合にはケナコルト局所注射で対応を行います。