形成外科での良性腫瘍摘出手術について/にしやま由美東京銀座クリニック(東京銀座2丁目)
2019-06-08
形成外科専門医による良性腫瘍摘出の適応
脂肪腫、粉瘤(アテローム)、色素性母斑(黒色・茶色)・ほくろ、脂腺母斑、石灰化上皮腫、軟性線維腫、毛細血管拡張性肉芽腫、血管腫、皮膚線維腫、副乳、副耳、デリケートゾーンのできもの、乳房・乳頭周囲のできものなどのできものを言います。
形成外科では、「日帰り手術」でキレイに取り除くことができます。
皮膚表面にできるできものには様々な種類があり、できる部位によって治療方法を検討する必要があります。基本的には局所麻酔下により取り除き、病理(顕微鏡)検査によりその性状の確認を行います。ホクロ・いぼなどの小さいできものについてはレーザーによる手術も考えます。
形成外科で手術を受ける メリット1
細部いたるまで美容的見地から配慮をしています!
局所麻酔は細い針で最小限に・・・少し心配なのは、麻酔が痛いかどうか。
30Gという最も細い針で麻酔量も最小限で行います。
キズアトに配慮・・・シワの方向に沿わせたり、Z形成術を使ったり
形成外科専門医が最善の方法を提案します。
手術日について・・・
平日から土日を含めて患者様のご希望の最短の日程でお受けします。
ここを注目、形成外科で手術を受ける メリット2
できる限り丁寧な診察と処置を行っています。
皮膚を切開して摘出する場合でもご心配はいりません。
形成外科では、皮膚切開線は、キズアトが必ず皮膚のシワのラインと平行になるように
慎重にデザインを行います。
特にお顔のしわのラインは、表情によって変化するため
正確に方向を見極める経験とワザがあります。
手術後の傷跡のフォローアップもしっかりと行います。
肌色のテープを使った皮膚固定や内服薬による傷跡の赤みや硬さの軽減など約半年間の治療で、
傷痕も最小限にする努力を行います。
粉瘤(アテローマ)
粉 瘤は、全身のどこにでもできる良性のできものです。大きさは、腕豆大~鶏卵大で半球上に隆起し、弾性硬の皮内腫瘤で大きいときは波動を呈するこ ともあります。毛穴が何らかの原因でつまり、皮脂や垢などが皮膚の袋の中に貯まっていきます。
良性腫瘍のため、近医では放置しても問題ないと説明される ケースが多 いのですが、実はばい菌による感染を起こしやすく、赤く腫れて痛みが出てから初めて当クリニックを受診する方が多いのが実情です。
感染を起こしていない場 合には、すぐに袋ごと摘出術を行いますが、二次感染をおこしている場合には、一旦小切開をして膿を外に出す必要があり周囲の 炎症反応が治まるまでに約2週間ぐらいかかります。手術は、感染が治まってから行うので、患者様にとっては2度手間となります。
男性の場合に比較的多い部位は女性の場合に比較的多い部位は耳 たぶや脇の下、顎周囲、背中などです。手術については、どこであっても特に問題なく取り除くことができます。特に乳房や外陰部は、どこに受診をすればよい か解らないと探されて来院されるケースが多いのです。デリケートゾーンは、できる限りキズアトが目立たなくなるように慎重に治療を行います。
ケース1:小ホールから取り出す手術:美容形成外科的な手技を用い、きずあとは最小限にすることができるので、若い女性にはとても喜ばれる方法です。
ケース2:最小限の皮膚切開により取り除く通常の手術。
ケース3:粉瘤が感染をおこしている場合には小切開を行い一旦膿を出して炎症を押さえる処置を行います。炎症が収まるまでに約2週間程度かかりますから、摘出手術はその後に行う必要があります。
黒色色素性母斑(黒あざ)
皮 膚にある黒い色をしたあざは、正式には、母斑細胞性母斑(ぼはんさいぼうせいぼはん)と呼ばれます。小型のものは黒子(ホクロ)、大きいものは 黒アザと も言われます。頭の先から足の先まで、全身どこにでもできる可能性があります。
形や大きさは、皮膚の表面と同じに平らなものから隆起したもの、その上に毛 が密集したものなど様々です。こうした黒アザの中には希に悪性のものもありますから、一度お早めに診察を受けておくとよいでしょう。
小 さなほくろは、レーザー治療で治すことができますが、ある程度の大きさになると手術で取り除いた方が良いでしょう。また、手術で取り除いた組織は、全症例 において病理検査によって詳しく調べます。
単純縫縮術:(SIMPLE EXCISION)
できものや母斑を1回の手術で取り除く方法のことを言います。大きさが小さい、幅が広くない、皮膚に余裕があるなど状態によって行います。
分割縫縮術:(SERIAL EXCISION)について
幅 の広い母斑・幅の広い刺青・幅の広いキズアトなど1回で取り除くことができない場合、6ヶ月以上の期間をおいて数回に 分割して取り除く手術のこと を言います。1回の手術で、正常な皮膚を引き寄せて無理がなく緊張しない程度の範囲のみを取り除くことがポイントになります。部位によって2回目以降の手 術は、6ヶ月から1年程度間隔をあけて行います。初回手術で約2/3の色素性母斑を切除します。約6ヶ月後に残った色素性母斑を完全切除します。
脂肪腫(リポーマ、Lipoma)
脂肪腫は、単発性で発生することが多く比較的よく見られる良性の軟部腫瘍です。皮膚のすぐ下に軟らかい腫瘤(しゅりゅう)として触れ、気づくこと が多いです。病理組織学的には成熟した脂肪細胞からなります。
脂肪腫も良性腫瘍のため、近医では放置しても問題ないと説明されるのですが、年月をかけて 徐々に大きくなっ、心配になり当クリニックを受診するというのが実情です。
脂肪腫も大きくなってからでは、侵襲が大きくなりますので小さいうちに形成外科 的に取り除いておいた方が良いでしょう。
石灰化上皮腫
皮内から皮下脂肪織に骨様に硬く、境界明瞭、若干凹凸を持つ結節 として触れる腫瘍です。直径は、0.5~3cm程度。上肢・顔面・頭頚部に好発し ます。単純切除を行います。
皮膚の下に石の様に硬いしこりを触れる良性のできものです。発生の原因は分かっていません。比較的若い人、顔、腕、頸などに発生することが多いよう です。
殆ど無症状ですが、時に押すと痛みを感じることがあります。触ると表面は凸凹していますが、境界ははっきりしています。時間とともに、徐々に大きく なることがあります。
皮膚線維腫
比較的良く認められる良性腫瘍です。原因は、皮下の線維芽細胞 が産生した物質が塊となったできものです。色調は、やや赤みをおびた皮膚色から茶褐 色で、数mmから小豆大の大きさで、触れると硬いことが特徴です。
ほとんどが、単独でできています。症状はあまりないことが多く、足にできやすく女性に多 い傾向にあります。治療は、レーザー治療よりも形成外科的切除を行います。
脂線母斑
出生時より存在し黄褐色~淡褐色、扁平に隆起している。頭部に多く見られ、思春期になると疣状~顆粒状となり硬くなることがある。しばしば、他の腫瘍が続発する。悪性腫瘍の発生の報告もあります。
副乳
副乳とは、胸に左右一対の乳房の他にも乳房あるいは乳房様の組織が見られるものです。多くは、両側のわきの下にみられますが、その他にも胸部・腹部・鼠径部・大腿内側外陰部を結ぶ乳腺提と呼ばれる線上に認めることもあります。
副耳
耳前部や頬などにイボ状のできものがある生まれつきの病気を副耳といいます。お母さんのお腹のなかで赤ちゃんの耳ができていく過程で生じる 病気ですので、耳介の変形をともなうこともあります。片方の耳にだけのことが多いのですが、時々両方にある場合も認められます。大きさも様々でゴマ粒程度~ダイズ大のものまでで、1~数個のこともあります。皮膚だけの場合や,イポの中に硬いしこりがふれるときは軟骨も一緒に含まれていることがあります。副耳による症状はほとんどありませんが、美容的な理由で手術されることがほとんどです。
デリケートゾーンのできもの
デリケートゾーン(外陰部や胸、おしりなど)に気になるできものが出来たとき、何だろうと不安になるものです。しかし、1人で悩んでいてもその問題は解決はしません。
一番の問題は、どこに受診をしたらよいのか迷ってしまうことです。当クリニックには、何カ所かの皮膚科や産婦人科を受診するもの「様子を見ましょう」と言われ決定打が無く、最終的にこちらに来ましたと言われる多くの患者様が来院されます。
できのももの種類によっては、それ自身が大きくなったり、周囲に広がってしまったり、バイ菌が入って腫れ上がり痛みがでたりするものもあります。そのように症状になる前に、できるだけ早いうちに取り除いておいた方が良いと思います。
形成外科での手術の特徴について
皮膚のしわに沿った切開線をデザイン
キズアトが目立たない方向を考慮した切開線は、RSTL(Relaxed Skin Tension Line)に対して平行な方向になるように工夫することが大切です。皮膚のシワの線に合わせて、デザインをすることで術後のキズアトが目立たなくなります。
RSTLとは皮膚に最も緊張のかかる方向を示しており、基本的には表情筋など皮下の筋の走行に直交する方向となっています。
このラインの見極めには、形成外科の長い経験とセンスが必要であるとともに、必ず立位でデザインすることが基本になります。
形成外科での縫合技術について
1:できものを切りとった後、皮膚の緊張をなくすために皮下を広くはがし、「真皮縫合」という特別な組織内での縫合をします。
この糸は、吸収糸を使用して縫合を行います。真皮縫合を行うと、表面 の皮膚は縫合しなくてもよい程緊張がなくなりピッタリ密着します。
したがってこの後、表面の皮膚を縫わなくてもよいくらいですが、キズあとをより目立たな くするために、細い糸でこまかく縫合します。キズの大きさを表わすのに昔は「何針縫合し たキズか」と表現していましたが、形成外科手術では使いません。
ドッグイヤー(Dog-ear)の処理
できものを取り除く際、円形に切り取り円形のまま皮膚を縫い縮めようとすると、その両端の皮膚が持ち上がって余ります。この外観が犬の耳に似ていることから、ドッグ・イヤー(Dog-ear)と呼ばれます。手術時にこの処理が不十分であると、両端の盛り上がりが残ったままになります。
このドッグ・イヤー(Dog-ear)の修正は、ドッグ・イヤー(Dog-ear)の中心部にフックをかけてまず片方の基部に切開を入れ、余った皮膚を引き延ばしながら対側の皮膚に切開をいれて縫合を行います。ドッグ・イヤー(Dog-ear)の修正後は、切開線はしわに沿って長軸方向に延長されキレイになります。
形成外科では、皮膚の腫瘍や瘢痕を切除する際においても、ドッグ・イヤー(Dog-ear)を生じさせないデザインや処理の方法を熟知して治療を行います。
早めの抜糸と6か月間のキズアトのフォローアップ
この皮膚表面の糸は、5日で抜糸して糸のキズあとを残さないように注意します。糸を抜いた後のケアは、スキントーンと呼ばれる肌色のテープでキズアトを固定します。
人の身体は、傷あとを治癒させるために最低6か月間という期間が必要です。少しでも傷跡を残さないためにも、テーピングと内服薬でしっかりとフォローアップしてゆきます。
手術術後の起りうる合併症について
1.術後の痛み:手術後、局所麻酔は約30分ぐらいで切れてきますので、その後から軽い痛みを伴うことがあります。もし、痛みが気になるようでしたら我慢することなく痛み止めをお飲みください。痛み止めは1錠服用しましたら、次の服用までに3時間以上は間隔をあけてください。
2.出血:手術創の大きさを考慮しながら、シリコン製のドレーンと呼ばれる管を留置しているためガーゼが少し滲む程度の出血は認められます。ドレーンは、創部の皮下に血液が溜まらないように排出させる目的で使用します。この管は、血液の排出状態により翌日ないし翌々日に抜去します。(ドレーンを使用しない場合もあります。)
3.血腫:術後から抜糸までの間に手術創の中に血液の固まり(血腫)ができることがあります。このような場合には、局所麻酔を行い、出血部位の止血と血腫の洗浄を行います。その後、再度創の縫合とドレーーンを留置しガーゼで圧迫を行います。この時点から順調に経過すれば抜糸まではさらに5日必要になります。
4.感染:創部にばい菌が入り感染を起こすと痛みと膿が出てきます。このような場合には、医療用の生理食塩水を使用して創部とばい菌に溜まっている部分を毎日洗浄して清潔を保ちます。感染の消退には、一週間程度必要な場合もあります。
5.漿液腫:手術後2週間ぐらいまでの間に、手術創の中に自分の体液(黄色い液)が溜まることがあります。このような場合には、再度シリコンドレーンを貯留している部分に挿入し排液が止まるまでガーゼによる圧迫を行います。
6.皮膚壊死:血腫・感染・漿液腫などの結果としての皮膚壊死を認めることがあります。皮膚壊死の状況に応じて必要な処置を追加していきます。
7.ケロイド・肥厚性瘢痕:体質による個人差や手術部位によって、手術後2~6ケ月の間は手術創の赤みや硬結・色素沈着などを生じます。これらの症状は、リザベンや漢方薬の内服により、徐々に改善しますが手術による線状瘢痕は残ります。ケロイドについては、さらにケナコルト局所注射や外用薬などを追加した治療が必要となります。形成外科では、この線状瘢痕をシワのラインに残すことでよりできる限り目立ちにくくすることを考慮して治療をしています。
8.縫合糸膿瘍:縫合糸の抜糸と抗生物質の内服と外用で治療を行います。現在では吸収糸を用いているため頻度は稀です。
このような合併症を予防するためには、創部の安静が重要なため事前に説明を行った生活上の制約はお守りくださるようお願いいたします。